2009年08月23日

珈琲考

珈琲に目覚めたのは、学生時代だった。
授業の無い日、近くの喫茶店で、珈琲一杯で一日jジャズを聴きボーとしていた。
ある時、その珈琲が「深い」と感じた。それまでは、ただ苦いとしか思わなかったのに、
その時から、その喫茶店のマスターとポツ、ポツ話す様になった。
珈琲の色々な淹れ方、味わい方。「いい珈琲は哲学をさせるんだ・」と言っていた。
そのマスターは珈琲の世界では有名な人の様で、卒業してから遊びに行ったら、
アンアンに載ってから味のわからん人間が押しかけて迷惑していると、言っていた。
頑固な親父だった。
静岡にも一軒美味い店があった。そこの親父も頑固だった。
苦い、と言ったり、ミルクを入れようものなら説教が始まった。
その説教を横で聞くのも面白かった。
両方のマスターは、珈琲とタバコが命だった。
ほんとに真剣勝負を挑む様な珈琲だった。値段が高いと思った事も無い。
そんな珈琲を淹れてみたいともおもった。
二人が亡くなって久しい。今喫茶に行ってもめったに珈琲をのまない。
ほとんどの店で腹が立つ、高いと思う。いい加減な珈琲、はっきり不味い。
珈琲もどきなら、マックの100円で十分だ。
昨日、久々に行った喫茶店、実はあまり期待していなかった。
しかし、反射的にホットと言ってしまった。
本を読みながら一口飲んで、あっと思った。
瞬間、顔を上げた、そこのは年老いた、マスターと奥さんがいた。
久々の美味い珈琲。硬くなった心が解けて行く様な。珈琲の世界に入っていった。
マスターが入れたんだ、と思った。
70年以上の人生を感じる深い珈琲。そんな世界だった。
最近は若い人が店をやっていたので珈琲は期待していなかった。
前は美味しかったけど、今の珈琲はいただけない。
きっと若い人が休みだったのだろう。
一つ学習した、この店は老いたマスターがいる時は、珈琲がのめるのか。
数十年の年季に追いつくには時間がかかるのだろう。
そのマスターの長生きを祈るのみ。珈琲の味を思い出した日だった。



Posted by 昔のシステムエンジニア at 13:23│Comments(0)日記
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