2012年04月19日

世界に狙われる日本の製造業

昨日のニュースで、愛知県にあるヤマザキマザックという工作機械メーカーから、
中国人の元従業員が設計情報を盗み出そうとして捕まったという記事があった。
証拠になったメールは、中国の高官とのやり取りがあり、どうも個人の「出来心」というより、
国ごとの産業スパイそのものの様だ。
それ自体は、今までの中国を見れば当然やっていいる事なので、さほど気にならなかった??が、
相手がヤマザキマザックという事に、日本の製造業が置かれている厳しい状況を思わざるを
得なかった。
それは、今をさること30年前、アメリカが日本企業を叩くために、スーパー301条をつくり、
悪名高い日米構造協議が出来たのは、当時、山崎鉄工所と言っていたヤマザキマザックの
技術の高さが原因だったからである。
日米構造協議は、いまではTPPという風に名前を変えているが、アメリカの一企業が自分の
企業利益のために、日本国を訴える基本形が出来たのである。
世界で最初に、NC工作機を作ったのは、アメリカのバーグマスター社であり、
その技術の高さは、製造業大国アメリカの誇りだった。
それに目をつけたアメリカ資本家がバーグマスター社を買収し、会計学しか知らない経営者に
経営を任せた。その結果、高い給与を取るベテランの技術者の首を切り、
安い給与で働く、移民の様な人達と製造現場を入れ替えてしまった。
つまりその時点で、製造業が一番大切にすべき、優秀な技術者を追い出してしまったのだ。
確かに短期的には利益は膨大になったが、結果当然の事として、会社は衰退する。
その時に、アメリカに安くて性能の良い工作機械を輸出したのが、山崎鉄工所で、
その結果、バーグマスター社の経営が悪化した原因は、日本企業が国とグルになって、
ダンピングして輸出攻勢をかけた事だとして、経営者がアメリカ政府にロビー活動を行なった。
かなりいいところまでいったが、時の大統領に却下された。
しかし、日本政府と山崎鉄工所は悪くもないのに、随分散財したらしい。
それに目を付けて、アメリカの労組が、今度は自動車で、そしてコンピュータでと、
日本のせいにして、圧力をかけてきた。その後の顛末は皆様ご存知だろう。
先日、ある中年の男性が、「昔日本はアメリカ企業のコピーをしていたのだから、中国が
日本のコピーをしても目くじら立てる事はない。」などとノー天気なことを言っていた。
一瞬キレそうなったが、そうゆう勉強不足の人達には、「潰えた野望、何故バーグマスター社
は、消えたか」副題が「本当の病根(製造業衰退)は、アメリカ側にある。」著者
マックス・ホーランド を読む事をオススメする。
日本の製造業が世界一になったのは、産業スパイは情報をぬすんだり、
国に頼んで金を巻き上げたり、などと言うことでは、出来なかったのだ。
真面目で実直な技術者が長い年月をかけ技術を磨きあげた結果なのだ。
今回のニュースを見て、感慨深いものがあった。



Posted by 昔のシステムエンジニア at 17:08│Comments(0)中小企業
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