2013年08月28日

藤圭子という生き方

藤圭子さんが亡くなった。どうも自殺の様だ。
私より少し年配なので、歌声は良く知っているが、当時はあまり興味がなかった。
フォーク、ロック、ポップスに目が行っていたので、
美人で歌の上手い演歌歌手という認識だった。
むしろ宇多田ひかるの印象が鮮烈で、彼女の母親としてのDNAに注目した様なものだ。
今回色々な所で報道された藤圭子の事を聞き、何年かぶりで彼女の曲を聞いてみた。
本当に歌が上手い人だ。しかも、その上手さはストレートだ。
野球に例えれば、真っ向勝負のストレート。
こぶしなどのテクニックは一切使わず、地声のみで歌っている。
今更ながら、すごい歌手である事がわかった。
彼女に匹敵するのは美空ひばりぐらいだろう。
しかし、何曲か聞いたら辛くなってきた。まるで身を削って歌っている様だ。
全身全霊をこめてというが、一曲歌う事に身を削っている。
彼女の母親の三味線瞽女(ごぜ)竹山澄子から譲り受けた才能を感じる。
そしてその才能を宇多田ひかるに与えて、その人生を閉じた。
そんな思いで聞いていた。
彼女の研ぎ澄まされた感性は、芸術的才能は極限まで磨きあげたために、
その鋭さのために自分や周りを傷つけ続けてしまったのだろう。
そのどうしようもない刃を押さえるために死を選んだのだろう。
宇多田ひかるが母を求めた、それ以上に母を求めていたのが、
藤圭子自身の様な気がする。
やっと楽になった彼女に真の安息が訪れます様に。 合掌。  


Posted by 昔のシステムエンジニア at 09:44Comments(0)日記